コーヒーを楽しみたい。でも、夜はきちんと眠りたい。
そんなときに考えたいのは、飲む時間とカフェインの量です。「午後○時を過ぎたら、誰でも飲んではいけない」という共通の境界線はありません。研究で分かっていることを、自分に合う楽しみ方を見つける手がかりにしてみませんか。
目が覚めた感じがするのは、どうして?
起きている間、脳では「アデノシン」という物質が増え、眠りへ向かう働きに関わっています。カフェインは、その働きを妨げます。
つまり、コーヒーで眠気が薄れても、睡眠を取ったのと同じではありません。「すっきりした感じ」と「十分に休めたこと」は、分けて考えたいところです。
研究では、眠る時間にも違いが出ています。
2023年に発表された、24件の研究をまとめた分析では、カフェインを摂った条件で、対照条件よりも睡眠時間が平均約45分短くなり、寝つくまでの時間が約9分長くなりました。
ただし、これは量や摂取時間などが異なる研究をまとめた結果です。「コーヒーを1杯飲むと、必ず45分眠れなくなる」という意味ではありません。飲む量と就寝までの時間も、影響を考えるうえで大切です。
「飲んでも眠れる」だけでは、分からないことも。
量の違いを調べた、もう少し具体的な研究もあります。
日常的にカフェインを摂る成人男性23人を対象に、100mgまたは400mgのカフェインを、就寝の12時間・8時間・4時間前に摂る条件を比べた試験です。コーヒーではなくカプセルを使い、同じ人がカフェインを含まない偽薬の条件も経験しています。
この試験では、100mgでは睡眠への統計的に有意な影響は確認されませんでした。一方、400mgでは、就寝の12時間前に摂った場合も、一部の睡眠指標への影響が見られました。
また、機器で測った睡眠の変化と、本人が感じた眠りの質は、必ずしも一致しませんでした。「眠れた気がする」だけでは、影響を捉えきれない場合があるということです。
ただし、少人数の男性を対象にした試験なので、「100mgなら誰でも寝る4時間前まで大丈夫」とは言い切れません。

まずは、最後の一杯を見直してみる。
カフェインへの敏感さや、身体から排出する速さには個人差があります。同じ「一杯」でも、コーヒーの種類やサイズによって、含まれる量は変わります。
寝つきや翌朝のすっきり感が気になるなら、こんな小さな見直しはいかがでしょう。
- 最後のコーヒーを、いつもより早い時間にする。
- 午後はカップを小さくする、またはデカフェを選ぶ。
- 飲んだ時間・量と、寝つき・夜中の目覚め・翌朝の感じを簡単にメモする。
これは、研究から考えた暮らしの中での試し方です。睡眠にはストレスや生活時間なども関係するため、一晩の変化だけでコーヒーが原因と決めず、いくつかの日を比べてみてください。
なお、デカフェもカフェインが完全にゼロとは限りません。カフェインを控える必要がある方は、商品の表示も確認しましょう。
おいしい時間を、自分に合うかたちで。
コーヒーとアイスを楽しむなら、午後の早い時間に。遅い時間には、デカフェを合わせるという選択もあります。
好きなものを楽しむことと、自分の身体に気を配ること。その両方のために、飲む時間や量を少し変えてみる。
「自分には、どんな楽しみ方が合うだろう」。そんな視点で、次の一杯を選んでみませんか。